有田上絵付について
有田焼(ありたやき)とは、佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器のことです。
17世紀初頭、朝鮮人陶工・李参平らによって泉山で陶石が発見され、日本で初めて磁器が焼かれました。当時は、その積み出しが伊万里港からなされていたので、「伊万里(いまり)」とも呼ばれます。
400年の伝統を持つ有田の装飾文様は、大きく「柿右衛門様式」・「鍋島様式」・「古伊万里様式」に分類されます。
17世紀中頃に有田での赤絵(色絵)が始まりました。上絵付け師(赤絵師)の技によって生み出される染錦は有田が原点で、有田上絵付けは、高度な色彩調和と日常の食卓で使える器から豪華絢爛な飾り皿まで、伝統的な魅力に溢れたものです。
必要な材料や用具
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白磁
有田焼に使用される白磁は薄く軽く、堅く丈夫なことが特徴です。鮮やかな絵付けがとても映えます。
<磁器の特徴>
有田焼の磁器は青白色でわずかに透光性があり、吸水性はありません。たたくと金属的な高い音がします。 -
筆
上絵付けを完成するまでに、書き・ダミ筆など10種類前後使用します。絵柄・器に合わせて筆は使い分けます。
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陶磁器用上絵の具
絵の具には様々な種類があります。下絵付用の絵具(ゴス)、上絵付けでは絵柄の輪郭の線描きのための書き墨、書き赤やダミ(彩色)のための赤・緑・黄など、工程や絵柄によって使い分けます。また絵具は、釉薬との相性があるので、有田の絵具がすべての磁器に合うわけでは ありません。
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溶剤
絵の具を磁器表面などに定着させる溶剤。ニカワ、フノリなどを使用します。
基本制作手順
- ①和文タイプ紙と桐墨で図案を写し、線描き用の絵の具で線描きをする。780℃で焼成する。
- ②盛り絵の具にフノリを入れ、線描用の黒や赤の絵の具にはニカワを入れて練る。
- ③絵の具で線描きの中に盛るように色をつける。絵具は焼成によって変化するので、経験と熟練が必要。
- ④780℃で焼成し完成。透明感のある鮮やかな発色が得られる。